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真北と磁北

 北って意外と奥が深いんです。日常私たちが使っている北には2種類あるってご存知でしょうか。真北と磁北です。

目次

北はふたつある…?

真北

北極星

「しんぽく」と読みます。地図上の北です。子午線の線が示す方位つまり北極点のある方位となります。厳密にはちょっと違いますが北極星のある方位を指します。
 私たちが何気なく「北」という時はこの真北を指す場合が多いのではないでしょうか。古代遺跡等の配置や建築はこの真北に合わせて作られていることが多いと聞きます。
 写真にもあるように北極星は夜空で唯一動かない星であるため特別視されていたとしても不思議ではありません。

磁北

「じほく」と読みます。簡単に言うと方位磁針が指す北です。日本国内でいうと9~6度程度真北より西にズレています。この角度、真北との差分を偏角といいます。
 地球内部には大きな棒磁石があると教えられた人も多いでしょう。その地球内部のN極棒の先端と地表が交わる点が地磁気極といわれ、グリーンランド付近にあります。しかし方位磁針が指し示す地点はここではなくて、方位磁針が指す北は西寄りのバイカル湖の北側付近シベリア付近になります。
  地理的専門な部分になるとちょっと難しくなってくるので簡単にいうと、バイカル湖シベリア付近には北半球でもっとも強い地磁気が形成されているようで、これに引かれる形で方位磁石は真北に比べやや西へ傾いて北を指すようになっています。また地磁気永年変化により1800年頃からこのような地磁気のシベリア付近の異常分布が顕著となったようで、今なお続くこのシベリア付近の地磁気の異常分布が日本付近での偏角の西向きへの変化に影響を及ぼしているものと見られているそうです。このことからも理解できるように、磁北は地磁気の変化によって年々移動しており、偏角も変動しております。しかし真北は北極星が見える方位のため不動で動きません(厳密に言えば数万年単位では動いています)。

磁気図偏角
出典:国土地理院ウェブサイト

真北を使うのが自然ではないか?

 真北なのか磁北なのか、占い師の間でも議論が分かれるようです。個人的意見ですが結論から言えば私自身は原則『真北』を支持しています。その説明をしていきましょう。
まず磁北を支持する方々の意見や根拠は大方以下のようです。

  • 人間は地磁気/磁場の影響を受けて生活しているので無視できない
  • 地磁気は大地のエネルギー、自然の一部。

 確かに地磁気が乱れると人間の精神に悪影響を与えるといわれており、交通事故が多い場所なども地磁気が乱れているという話もあるといいます。私自身、この地磁気が人に与える影響は小さくないと考えていますので、地磁気の人への影響力そのものは否定しません。むしろ精神面に対する影響力は大きいと考えています。

東西南北は太陽と星の動きから

 古来、東西南北という方位は太陽と星の動きを精密に観測して求められておりました。それは残っている古代遺跡やその痕跡からも容易に想像できます。方位だけでなく暦も正確に求められていて、日の出や日の入り、冬至や春分といったことも把握しており、遺跡の建築物は驚くほど正確に東西南北を示しているものもあります。
 また占いで使用される方位の考え方は、地磁気を考慮して編み出されたものではありません。これら占いの考え方の根幹には陰陽説・五行説があります。この世の全ては陰陽と木火土金水の五行のバランスによって構成されていると考えられていました。つまり大極が陰陽に別れ、陰陽が木火土金水の五行に別れ、そのバランスによって万物が形作られているという考え方です。そして宇宙観として、大極=動かないもの、中心、すなわち天空の中心は北極星という思想が生まれ、北辰信仰に結びつきました。

古代遺跡と方位

 このように、方位とは本来太陽と天体の動きから、天空、宇宙、天地自然、森羅万象の動きから求められているものです。陰陽五行の木火土金水は地磁気に沿ってながれているものではなく、森羅万象の宇宙の動きに沿って、と考えるのが自然と思えませんか?
 以上のことから、北は真北を指すものとして考えたほうが良いと思うところです。

羅針盤や方位磁石について

 磁石を利用して方位を調べる羅針盤の発明は古代中国です。西洋が羅針盤の技術を獲得したのが15世紀前後といわれ、中国ではもっとさかのぼり「宋」の時代、10世紀前後だそうです。それだけ中国の技術力は高かったといえましょう。では磁石はというと、その鉄製につく性質は紀元前より知られていたといわれていますが、南北方位を指し示すことを知るまでには6世紀くらいまでかかったのではないか…、と言われています。
 唐の時代の書物に「管氏地理指蒙」があり、ここに「磁石針」という言葉が書かれているそうです。「やや偏った方向を指す」つまり真北とは違い偏っている…、という内容が書いてあるそうです。

 ここまで北は真北だ、と力説してきたのですが、それでも磁北説がなくなるわけではありません。風水はでは磁北を当たり前のように使いますし、他の方位学でも流派によっては磁北を用います。それ自体を私自身、非難や否定をするつもりはありません。とりあえず、自分が信じている方で占ってみましょう。

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