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筑波山

筑波山は関東地方の茨城県つくば市にある標高877メートルの山です。

目次

最も低い日本百名山

筑波山は筑波山神社の境内地で西側に男体山(標高871メートル)、東側に女体山(877メートル)があり、西の富士山・東の筑波山とも呼ばれているそう。山道は整備されケーブルカーやロープウエイもあり老若男女の登山客ににぎわう山です。筑波山のほとんどが「水郷筑波国定公園」に指定されて、アカガシやブナなどの貴重な原生林が見られたり、筑波山固有種の可憐な花「ホシザキユキノシタ」などさまざまな動植物が見られます。篤き信仰とともに大事な自然の宝庫でもある筑波山なのです。

筑波山に登る(2024/4/20)

 筑波山は小学生のとき登った記憶があります。弁慶七戻りとか巨石の間を歩いた微かな記憶が残っており、数十年ぶりだが行ってみようと一念発起。真夏になる前の4月にチャレンジしようと計画して出発。まだまだ若い、と自分を鼓舞して車を走らせたのでした。
 筑波山は筑波山神社の境内地であり神域です。なので、まず筑波山神社から出発です。

迎場コース 

今回の登山道は行きは迎場コースで帰りは白雲橋コースの予定。
大鳥居近くの駐車場に車を停めて10時頃出発。筑波山には40年以上前の小学生時に登った記憶が都合よく解釈され、余裕綽々という安易な心で準備も軽く登山開始。登山自体も約20年ぶり…。すべてが油断と侮り。
 筑波山神社正面を右に行き民家の間を歩き登山道へ。

 筑波山は標高が低いが短い距離で600メートルくらい上るので、初心者向きとも言えない節がある。
 まさかこんな辛いとは…。いやー参った、油断というか舐めていたというか。こういう人が突然山に登って遭難するんだろうな…と後悔の念。登山道の説明には「岩場が少なく比較的楽なコースです。」と書いてあったが楽ではない。
ただ一言だけ「うそつき」 そして油断したと…。
 とはいうものの、日ごろのストレス発散と非日常的チャレンジを理由に志を貫くことにした。とはいうものの意外と上り坂が続く。見渡す限り樹木が生い茂っていますがすべて筑波山神社の神域なのです。鳥の鳴き声、風の音、木の葉が擦れる音、都会の喧騒で汚れた心を洗い流す感じがした。

おたつ石コース

 一時間ちょっと歩くとロープウェイの駅、つつじが丘駅の開けた場所に着き小休憩。水分補給を行い呼吸を整え体力が消耗したことを後悔しつつ、再出発。澄み渡る青空を見ると後悔する心がけがれているかのように思えてしまう。
 ここからは階段が整備されているとはいえ急な坂道が続きます。

ちょっと上ったとところには、つつじが丘高原が広がりちょっとしたピクニック場みたいな広場があります。眺めはいい場所です。だいたい標高600メートル。

 ちょうど黄砂の影響もあり、遠くはかすんでいました。すこし残念。でも天気よく、そよ風、適度な気温と湿度恵まれた環境でした。疲労感以外は…。
 ここからは標高も高くなり植生が少し変わってきます。所々巨石群が顔を覗かせ、神秘さを醸し出します。崩れてこないのだろうかと、少し心配になります。最近、地震が多くなったので心配。でも変わり続けるのも自然の宿命。美しいと思えるのも自然が作りだした姿とその場に居られた瞬間の出会い。すべては風化の過程であり変化の途中であり、美しく感じるのもまたその神秘さも永遠であってほしいと思うのも人間の身勝手な心。

 いまは新緑の季節であり、鳥の鳴き声とそよ風、そして小さなアクセントの花が彩りを作り疲れた体と心を少しばかりか癒してくれていました。

 険しい山道をよじ登ると弁慶茶屋があり一休み。疲労の色が濃い。

弁慶七戻り

古くから神々の世界と現世を分かつ場所とされてきた石門。頭上の岩が今にも落ちそうで恐れおののいた弁慶が「七戻り」したと言い伝えられている場所

落ちてこないのだろうか。この状態を何百年? 保っているのか、不思議になります。

この奇岩はいつの時代から我々人間を見ているのだろうか。自然が作り出す姿は時として奇しけきものとして現れます。近くの樹木は樹齢1,000年以上とか…。

筑波山の奇岩

弁慶茶屋を過ぎ、弁慶七戻りを過ぎると奇岩だらけ岩道だらけになります。こんな感じの道が続きます。こんなに険しい山だっけ? 

母の胎内くぐり
筑波山禅定の行場の一つ。岩を抜けることによって罪穢れを無い清い心身に立ち返る事を意味しているらしい。

出船入船
熊野の鳥居石と謂われ船玉神(ふなたまがみ)を祀ります。この岩より熊野灘を遥拝するという。
左側の岩が入船、右側の岩が出船にみえますね。

裏面大黒
ひび割れた岩が大黒天が背負っている袋で大黒天の後ろ姿に見える奇岩。

北斗岩
天にそびえたつ岩で天空に輝く北斗星のように決して動かない事を意味する

山頂間近なこの一帯は様々な奇岩に囲まれたところになります。なぜ関東平野にこんな岩山がそびえるのか? 疑問が沸いたのでした。筑波山の成り立ちについては少々疑問に思い、後日調べたので後述します。

筑波山山頂 女体山

女体山 877メートル。 さすがは観光名所。観光客で渋滞でした。一瞬をついて写真を撮る。
季節的に黄砂の影響があり、また雲も広がって遠くまでは見渡せなかったのが残念。

筑波山山頂 男体山

男体山 871メートル。女体山から歩くこと20分くらいでしょうか。女体山に比べ観光客は少なかった。
女体山でもそうだったが季節的に黄砂の影響があり、また雲も広がって遠くまでは見渡せなかったのが残念無念。
ただ頬を撫でる風が気持ちよく、往路の疲れを取ってくれたような気がしました。

15時頃だろうか、同じ道をたどり下山開始。途中弁慶茶屋で休んで白雲橋コースで帰るつもりが、疲れからかぼーっとしていたのか、つつじが丘駅まで下ってしまった。おっと…。

再チャレンジの理由ができた。ということで次はいつ行こうか?

筑波山の成り立ち 火山のようで火山でない

 ところで平らな関東平野の中にポツンと現れる筑波山。877メートルとはいえ広い関東平野の中にあるのはなぜか?
筑波山は火山ではありません。でもなぜ関東平野にそびえ立つのか、そしてなぜ奇岩が多い岩山なのか?

 西の富士山、東の筑波山と並び称されるが二つの山は成り立ちが全く違います。富士山は火山噴火で作られてきましたが筑波山は火山ではありません。噴火もしなかった山なのです。
 筑波山はいまから約7,500万年〜6,000万年前にマグマが地下の深いところでゆっくり冷え固まってできた岩石が、その長い年月をかけて地殻変動によって隆起してできた山なのです。

約7,500万年前(恐竜が暴れていた時代)に地か深いところでマグマが長い時間をかけて冷え固まります。これが後の斑レイ岩であり、筑波山中腹以上にある奇岩の正体。

約6,000万年前(恐竜が絶滅していた時代)に別のマグマが上がってきて、地中の中で斑レイ岩を囲むように固まり花崗岩になる。これが中腹以下の部分を形作る。

その後、超ゆっくり(一説によると10万年で1m)隆起して、筑波山の原型を作ったという。隆起する際に巨大な力がゆっくりと加わり、超固い斑レイ岩がひび割れたり、浸食と風化によって崩れたりして、いま見ることができる奇岩として残り現代の筑波山となったようです。

長い年月との中で自然エネルギーが凝結して作られた山。
だからこそ私たち人間は神秘さを受け取り神域として信仰の対象としていたのかもしれません。

筑波山Gallery

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