人は死んでも“あの世”に行って生き続ける、という人がいる。逆に死んだらすべてが終わる、という人もいる。あの世が存在を肯定も否定も科学的証明は不可能だろうが、私たちの意識や心は単なる脳内で起きている電気信号や脳内物質の反応だと割り切れるほど単純ではないと思う。心と命は「脳」に宿っていると考えられるが、思考や記憶、気持ちや感覚、意識等の様々な情緒は脳が作り出した現象だと割り切ってしまうと、人生とは何ぞや…?と余計に混迷に使ってしまうともいいかねない。人の生き死にについて考えるタイミングは、身近な家族の生死を目の当たりにすることがきっかけになる事も多い。
2023年父親の介護と突然の看取りに至った経緯から、人の最期について記したいと思います。
平均寿命の推移
人の最期と言っても突然亡くなる方もいれば、そうでない方もいます。1955年の日本人男性の平均寿命は63.6歳、女性の平均寿命は67.75歳でしたが、2000年代に入ると男性が77.72歳、女性が84.60歳と長寿社会が進み、近い将来2040年には男性83.27歳、89.63歳まで伸びると考えられているようです。また過去を遡ると江戸時代では30~40歳、平安時代では30歳代と不確実性要素も多いですがそういわれています。
この状況下では当然ながら介護をしていく期間が延びてくるのは当然です。私も突然90代の父親を介護する状況が起き慌てたものです。その介護をする際に様々な介護グッヅを購入し実際に使用し役に立ったもの等を記しますので、参考になればと思います。
介護とそのアイテム
介護の状態
要介護:4
年齢:男性 当時92歳
病状:アルツハイマー型認知症
当初は年齢相当であったが2022年度にコロナに罹患して危篤となり3か月ほどコロナ病棟に入院してほぼ寝たきり状態となり、そこから認知症の症状が悪化。主には記憶障害のみで、徘徊等はごく稀で感情の起伏もそんなになかった。
介護については自宅と介護施設の両方で行っていました。
ケアマネージャーを探しているときに看護小規模多機能型居宅介護という介護サービスがある事を知り、これを利用しました。元々私たちは自宅で看取り前提で父親を引き受けたのでこれがベストな選択でした。
看護小規模多機能型居宅介護とは、高齢社会を迎える中、高齢者の一人暮らしや「老老介護」の問題、 住み慣れた場所で在宅療養を望む方が増えてきている中、2012年に創設された制度。
着るもの
介護向けの衣服は意外と少ない。特にサイズ的に小柄な老人用というものが見つからなかった。父親の場合はスエットを中心に過ごしていただいた。元々終日スエットを着て過ごしていた人なので、特に理由はありません。パジャマだと日中着替えたりも必要でしたが、スエットだとそのままいられるからある意味便利でした。男性よりの記述ですがあらかじめご了承ください。
下着
介護下着というものがある。綿素材で前開きができます。寝たきりになった起き上がることが困難になってくると前開きシャツが便利であるし、体を拭いたりする際も楽でした。
前開きを止めるのはボタン、ホック、マジックテープがありましたが、ホックがワンタッチ式なので非常に楽です。認知症が進むとボタンすら留められなくなりますのでワンタッチのホックが重宝です。マジックテープは洗濯していくとヨレたり、ほかの洗濯ものと絡まったりするので避けました。
シャツ
速乾性があって動きやすいもの、というところで用意しました。ドライメッシュなのでサラサラ感のあるシャツで、汗をかいても速乾性なので洗濯でもすぐ乾くので安心。春秋はこれだけでも丁度よく、夏はエアコン等の空調が効いた部屋に居続けるので長袖でもよいです。冬はこの上にベストを羽織る等の調整ができればいいです。
ズボン
ズボンはスエットのもので十分ですが、春・夏・秋では少し薄めの生地のものでもよいと思います。シャツ同様速乾性とサラサラ感のあるものがおすすめです。
甚平(じんべい) または 浴衣(ゆかた)
90歳代なので甚平を買ってあげたらとても喜んでいました。介護施設でも職員やほかの老人たちからもウケが良かったみたいです。
失禁対策として
おむつと防水シーツ
おむつについては各社様々な種類が発売されておりますが、機能については大きな差はありません。いくつか使ってみて体形や健康状態等を鑑みて最も使いやすいものを選んでみましょう。また居住地域でおむつ支援をやっている自治体が多いのでまずは支援を調べてみましょう。
失禁は介護の中で必ず付きまといます。自己流ではありますがいくつか工夫を記しておきます。
ペットシーツ
介護ベット、介護マットには失禁しても汚れないように防水シーツを敷きますが、ペットシーツでも代用できます。
防水シーツは吸水性がないので尿の水分が横に広がってしまいますが、ペットシーツを引いておくと吸水してくれるので、その部分だけで汚れるので、広範囲に濡れるようなことはありません。介護マットの上に防水シーツ、その上に腰のあたりにペットシーツを敷き、普通のシーツを敷いておきます。
大きなサイズのペットシーツは意外と安価に売られているので利用してみましょう。
トイレ回り
オムツをしているとはいえ、比較的元気な時はトイレまで歩いて用を足す人も多いですが、便器周りに尿がハネたりこぼれたりするものです。私の父は自尊心からかオムツでは用はせず、無理やり歩いてトイレで用を足していました。
とはいえ、認知症なので便器周りは汚れっぱなしで一緒に住んでいる家族には迷惑が掛かっていたところです。最初のうちは少しこぼれる程度でしたが、そのうち全量が便器に入っておらず一面尿の海、なんてこともありました。
気休めにしかありませんが、便器周りに敷く使い捨てマットがあるので紹介します。個人的には吸水性と濡れたら色が変わるなどの商品改善をしていただきたい。
認知症が進行したら部屋でも漏らすこともあります。またコップを倒す、食べ物をこぼす等あるためにその対策としてもペット用品がいいと思います。滑り止め加工しているので介護に最適でした。フローリングならまだしも畳の和室だとしみ込んでしまうので、この洗えるペットシーツを使っていました。一見すると毛足の短い絨毯としても違和感がなかったです。
消臭剤
消臭剤は結構選ぶのが難しいです。香料に対する反応は人それぞれです。人工香料に対して嫌悪感を示す人もいれば許容範囲でそんなに気にしない…という人もいますので、まずはお試しすることが大切だと思いました。
ここに紹介するのは使ってみた時に人工的な香料が少なく強力に消臭できるものを選んでみました。独特な介護臭、排泄のアンモニア臭はとても厄介で、部屋中に充満してしまうので早いうちから対策が必要です。
トイレの清掃にはこれを使っていました。
超強力に尿のアンモニア臭を除去してくれてました。介護臭の独特な匂いにも効きます。
布団や枕、畳、マットにはこれを使っていました。
この製品はバイオの力で消臭し、独特な介護臭、布団や枕に染み付く体臭等の匂い、尿漏れ等のアンモニア臭にはこれが良かったです。使用後は少し優しい香りが残ります。
洗濯洗剤
介護臭や尿のアンモニア臭はなかなか洗濯では取り切れません。ほかの家族の洗濯ものとは別にして洗っていましたが、この洗濯洗剤が介護施設の現場でも一押しのようです。諦めていた体臭尿臭便臭をすっきり消臭できるようです。
ゴミ箱
オムツの処分等、介護のゴミは臭います。なので以下のペット用のゴミシューターを利用していました。人間用もあるのですがほとんどが赤ちゃん用なので、大人の介護オムツは入らないことが多いし容量も圧倒的に足りません。赤ちゃん用のおむつは畳めば小さくなりますが、大人の介護用は尿や便があると畳んでも大きいので、投入口が大きいもの、容量が大きめなもの、気密性が高いものを選ぶ必要があります。
その他、介護するのに便利だったもの
リモコン
認知症になるとテレビやエアコンのリモコンの使い方が分からなくなり、適当にボタンを押すようになります。
テレ場のリモコンの場合、意図せず大音量になったり、CSや外部入力に切り替わって「映らない」と大騒ぎになる事が多発します。
本当にテレビに関しては大変でした。通常でさえ、耳が遠くなるので音量が大きめ、電源をつける消す、チャンネルを変える、ボタン操作がどんどん適当になり、ボタンを片っ端からランダムに適当に押します。その結果、真夜中に大音量となったり、CSや外部入力になったりして映らなくなり、騒いだりします。最近のテレビは高機能なものが多いので数多くのボタンが並んでいるリモコンが大半ですが、年寄りや認知症の方には不便極まりないものです。
ここに紹介するテレビリモコンは必要最低限の機能に絞ったボタン配置、しかも任意のボタンを無効化等もできるので、意図的に地デジとBS/CS衛星放送の切り替えができなくなるようにしたりできます。国内主要メーカーは対応しており、ボタンも大きく使いやすいものです。
私のところでは、入力切替(地デジ・BS・CS・外部入力)のボタン等を無効化し、地デジのチャンネルのみ切り替えらるようにしていました。とても重宝したリモコンです。最大音量が設定できるともっといいのですが…。
見守りカメラ
認知症の場合、徘徊や体調の急変に備えなければなりません。プライバシーの問題もありますが、ペットや赤ちゃんの見守りカメラの利用は考えてもよいかと思います。カメラによっては真っ暗闇でもはっきり映る暗視機能があったり、AIで人を検知し自動追尾するものもあります。起床時間や就寝、食事、トイレ、徘徊などはこれで見れていたので便利は便利でした。あとはプライバシーの問題を考えて設置するかは家族で話し合って決めましょう。
温度、電気、エアコンの監視はスマート家電を活用
テレビをつけっぱなしで寝ている、テレビが大音量になっている、部屋の照明をつけっぱなしで寝ている、エアコンの温度管理が滅茶苦茶等、認知症の介護をしていると想定外のことが当たり前に日常的に起こります。これにはスマート家電が大活躍していました。
赤外線リモコンで動く、テレビ、エアコン、照明等は今使っているもので遠隔で操作できるようになりますので、非常に便利です。
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